会社の中では、社員は上司に従うことを当たり前のこととして求められます。
なぜ上司に従わなくてはいけないのか。と思ったことはありませんか?この問題を考えるにあたって、まずは、労働者とはどういう存在なのかを考えてみましょう。
労働者とは、会社と労働契約を結んだ存在です。労働契約とは、社長の意思に沿って仕事をして、その代わりに対価を得る契約です。これが会社に雇用されるということです。
給料を得るために社長の意思に沿って仕事をする労働契約を結んでいるところに、上司に従わなければならない理由があります。
ある人が自分で事業を立ち上げ、会社を大きくしていくときのことを考えてみましょう。最初、創業者は一人で仕事をしています。一人社長です。仕事が忙しくなってきたので、一緒に仕事をしてくれる人を雇うことにしました。
ここで、この創業者が求めているのは、
やりたいことや、やるべきことでパンク状態になっている自分を助けてくれる人です。
自分の仕事を手伝ってくれる人を増やしてさらに事業が拡大してくると、営業をやってくれる人、商品サービスを開発してくれる人、事務仕事をしてくれる人、それぞれの業務で人を雇い、自分は全体のマネージメントを行っていくことになります。
営業部員が増えてくれば、営業部門がつくられ、その部門をまとめる人が出てきます。この人が課長や係長になります。会社が大きくなるにつれて、組織が形作られていきます。
社長は、営業部長に対して、今期はこのような営業戦略で進めてくれと指示を出します。営業部長はその受けた話をかみ砕き、部内の課長に対して、このようにやっていってくれと指示を出します。さらに課長は係長に指示を出します。
このように会社の方針は、上から下へと流れてきます。部長から課長へ、課長から係長へ、係長から平社員へ。この流れの中で社長の意思、会社の意思を正しく組織の末端へと伝えていくのです。
平社員が目の前の係長から受ける指示は、係長が課長から受けた指示であり、
係長が課長から受ける指示は、課長が部長から受けた指示であり、
課長が部長から受ける指示は、部長が社長から受けた指示であるわけです。
つまり、平社員が目の前の上司(係長クラス)から受ける指示は、元を辿ると社長の指示とつながっているのです。
実際には、係長の意思と社長の意思にはズレが出てくることがありますが、社長が求めているのは上意下達で組織を自分の思うように統制することでしょう。
ここで、話を最初に戻します。
労働者とは、社長の意思に沿って仕事をして、その代わりに対価を得る存在です。
労働者にとって、自分の目の前の上司の指示が自分の意に沿わないものであったとしても、社長の指示とつながっていることを考えると、上司の指示に従うことは社長の指示に従うことと同義です。
「社長の意思に沿って仕事をして、その代わりに対価を得る存在」が労働者なのですから、社長の指示とつながる目の前の上司の指示には、必ず従わなくてはいけないことがわかります。これは労働者の原則だとわかります。
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