おしゃべり好きのあの人がうるさい、営業社員がガヤガヤとうるさい、事務員のおばちゃんの仕事と関係無い雑談がうるさい、おしゃべり君がちょっとしたことでいちいち話かけてきて集中できない・・・
こういったことでイライラされている人は多いです。これを防止するために、一言も話をせず黙々と業務に打ち込む時間を、会社のルールとして作るのはいかがでしょう。
トリンプ・インターナショナルの仕事集中時間
1日の中で、会話をいっさいせずに、仕事に集中する時間を設ける。例えば、毎日午後の13時から15時は、いっさい会話をしてはいけない、電話をしてはいけない、自分の業務だけに集中しなくてはいけないというルールを作るとします。
その時間だけは、どうでもいい噂話も聞かされることがなくなり、「ちょっといい?」といって話しかけられることもなくなり、割り込み仕事が完全にゼロになり、自分の仕事に全力で集中できるようになるのです。
この制度を徹底して続けた会社として、トリンプ・インターナショナルという有名な会社があります。
トリンプの社長であった吉越氏が導入した制度で、1日に2時間程度、話すことを全面的に禁止して自分の業務に集中する時間を設定しました。「がんばるタイム」と呼ばれる時間です。
話すことが禁止されているのですから、私語は当たり前として、上司から部下に指示をしたり、電話に出たりすることも禁止というわけです。おそらく、電話は留守電の設定にでもなっていたのでしょう。また、外来者もシャットアウトしたのではないかと思います。
さらに席を立ってトイレにいくことも禁止であり、さらにさらにがんばるタイム中には総務担当が見回りをして、ルールを破っている者がいたら、注意を与えるといったことをしていました。ここまで徹底すると、みんながんばるタイムに合わせて動くようになります。
あるテレビ番組で、その様子が放映されているのを見たのですが、社員は昼過ぎから始まるかんばるタイムのために昼食から急ぎ足で戻ってきたり、事前にトイレに行ったりして、がんばるタイムに集中するために調整をしているようでした。がんばるタイム中に立ち歩いている人を発見した総務担当の見回り担当者は、「ちょっと、がんばるタイム中ですよ!立ち歩かないでください!」と注意をしていました。
がんばるタイムの時間を終わると、事務所内に「ふ~、終わった~」といった空気感がみられました(テレビ画面内です)。それは、集中して仕事をしアウトプットをしたので、ふつうにダラダラおしゃべりしながら仕事するよりも多くのエネルギーを使ったからでしょう。毎日それを繰り返したらそれは仕事の生産性も上がると思います。
私は、仕事が溜まっているときには、あえて遅くまで残業するか早朝に会社に来るなどして、誰にも邪魔されず1人で集中できる時間を作って仕事を片付けることがあります。シーンとした静けさの中で行う仕事は、はかどること、はかどること。
トリンプでは、毎日このシーンとした環境で仕事をする時間が2時間存在していたのです。この時間は社員全員の生産性が確実に上がります。ここまで徹底したことが、トリンプが何年も増収増益を続けて躍進できた要因の一つとなったわけです。
吉越氏の本には、がんばるタイムについて書かれています。たとえば、こちらの本。
p130~131に記載があります。また、そのほかの吉越氏の本にも書かれています。
がんばるタイムは、トリンプが行った生産性を上げるための取り組みのほんの一部です。本書では、生産性の高い仕事をするためのそのほかの取り組みや、考え方を知ることができます。以下引用。
・明晰な頭脳を維持し続けるためには、まず「体力」が十分であることが必要不可欠なのです。体力があるから、やる気や気力、意力を保つことができるし、それらの条件がそろってようやく能力を存分に発揮することができます。
・なぜ、売り上げが伸び始めたのか。理由は簡単です。やるべきことをやっただけです。
・部下に権限を与え、一つの分野を任せるといった仕事の仕方をしていないために、部下と上司の間にホウレンソウが多発している会社のオフィスは、非常にうるさいものです。~中略~ ホウレンソウを持ちかけてはお互いに仕事の邪魔をし合う結果になってしまいます。
・会社や、社員にとって重要なキーワードは「徹底度」です。仕事は徹底度で決まります。
がんばるタイムを提案してみる
「本当に本当にうるさくて仕事に集中できない!」
この「がんばるタイム」の導入を会社に提案するのはいかがでしょう。
「おしゃべりがうるさいからこの提案をしたいです」
と言うと、
「なんだ偉そうに!」
と言われてしまいますから、
「仕事に集中できる環境を作ることで生産性を上げたいのです」
などと言って導入の提案をする方がいいです。
また、このような取り組みはトップが動かないとまともに運用されません。全社的にやるのであれば会社全体で、ある部門だけでやるのであればその部門全体で、トップが動いて大真面目な取り組みとして行わないと上手くいきません。がんばるタイム中であっても、「この件だけどちょっとだけ話していい?」と言って、話してしまう人が出てきてしまいます。
徹底的に行うことが、一番のキーになるでしょう。
提案される上司としては、私語をしないのはよしとしても、電話もしない、社員のコミュニケーションもとらないということには、反対するかもしれません。しかし、なんとか話をつけて「がんばるタイム」を導入できたとしたら、その時間だけは、周りのおしゃべりがうるさくて集中できない!もう嫌だ!と思っていた時間が消え去り、誰にも邪魔されずに集中できる時間が得られて、生産性の高い仕事ができるようになるはずです。
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