最低賃金アップ要求は自分の首を絞めている

仕事観


ときどき、最低賃金を上げてくれといったデモを見ることがあります。その度に、あまりかっこよくない上に、自分で自分の首を絞めるような行為だよなと思うのです。

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会社経営にかかる最も大きなコストは業種によって違いますが、どの業種にも共通してある大きなコストは、人件費です。

あらゆるメーカーの製造の現場、飲食や小売りなど様々なサービス業の現場でも、人が作業することは多数存在します。しかし、現代の技術をもってすれば、活用できる機械がもっとあるはずです。人に仕事をしてもらうのではなく、機械に仕事をしてもらうことができるはずです。

なぜこうなっているのかというと、これは単に、機械を使うよりも人を使う方が安いからという理由で、人を使っているだけなのです。私はメーカーで仕事をしているもので、またその話になってしまいますが、メーカーの製造現場のことを考えてみます。

大企業のメーカーであれば、専用のライン、専用の機械で、自動で製造を行っている工場も多数ありますが、中小零細企業の多くでは、人の作業によって行われる仕事がメインでしょう。

現代では、消費者ニーズの多様化に対応するため、作る品種が増え、量は減るという多品種少量生産が増えていますし、さらに、通年の生産ではなく、季節商品、期間限定の商品で、生産時期が短いことも増えています。

製造工場で製造ラインの機械化を図るとしたら、すべての製品で同じように使える機械もありますが、それぞれの個別製品ごとに必要となる機械もあります。前者の購入は問題ないのですが、後者の購入は簡単にはできません。ある特定の製品だけに使用する機械を購入した場合、その製品の製造が終了したら機械は用無しになってしまいます。いずれ、また他の新しい製品で使用されるときがくるかもしれませんが、それまではただの置物として、社内の片隅に置かれ、スペースを取って眠ったままになります。

ですから、期間限定で製造する製品のためだけに、機械を購入することはできません。ふつうは、何年もの年月をかけて使い込むことで機械の購入代のもとをとりますが、使用期間が短いとそれができないからです。それよりも、人の手作業で製造してしまったほうが、安く作ることができるですね。だから、機械に作ってもらうのではなく、人に作ってもらうのです。

 

ここで、時給あるいは、最低賃金が上がったときのことを考えてみましょう。

上に書いたように、機械よりも人を使って製品を作っているのは、その方がコストがかからないからですが、人件費が上がり、一方で技術の進化によって機械が安くなってくると、当然、人を使うよりも、機械を使うほうがコストがかからないようになってきます。

そうしたら経営者としては、よりコストのかからない機械を使って製品を作ろうと考えるのは当たり前です。人を雇うのをやめて、機械を導入するようになります。最低賃金を上げてくれと訴えるのは、将来の自分の首を絞めているようなものなのです。やるべきなのは、ワーワーと叫んで賃金を上げさせるのでなく、自分の能力を高めて賃金を上げさせる自助努力でしょう。ワーッと叫ぶエネルギーを他に使いましょう。そのほうがよっぽどスマートですし、上手くいくのではないでしょうか。

 

 

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