経営者の言葉で、「会社の業績が悪いのはやるべきことをやっていないから」、「仕事はやるべきことを徹底しているかどうかで決まる」といったことをよく見聞きします。やるべきことをやらないと、業務がきちんと回らなくなり、問題ばかり噴出するようになってしまいます。
会社の中には、社員がしっかりとやるべきことをやっている部門もあれば、やるべきことをやっていない部門もあります。これは、私の身近であった話ですが、ある部門の管理者Aさんと、それとは他のある部門の管理者Bさんがいました。
Aさんの部下たちは、やるべきことをしっかりやって業務が行われており、問題なるようなことは少なかったです。
Bさんの部下たちは、やるべきことをやっておらずしょっちゅうトラブルが発生していました。こうやっていこうと決めたことを実践しない、ルールを守らない、上司であるBさんに報告しない、ウソの報告をする…。
後者の管理者は「部下がやるべきことをやってくれない」とよく嘆いていました。
Aさんの部門とBさんの部門では、顕著な差が見られていました。なぜこんなにも差が見られるのだろうか、と考えて浮かんできたことは、
部下がやるべきことをやらないのは、上司がそれをやっていないからではないのか?
これでした。
Aさん、Bさんが、その上の上司である役員クラスの人から指示を受けたときには、次のような行動にをとります。
- Aさんは上役から言われたことと必ず、すぐにやる
- Bさんは、上役から言われたことをしばしばやらないことがある
たしかに、役員クラスからの指示には、現場が実践できないような無理な注文や、それは意味ないだろと思うような指示もあります。Bさんは、そういった指示の場合は、気分がのらないので着手せず、やらないまま放っておいてしまいます。
- Bさんは、部下に対して、やるべきことをやってくれと言うが、自分自身もやるべきことをやっていない
- Bさんは、部下に対して、ちゃんと報告してくれと言うが、自分自身もその上の上司にちゃんと報告していない
- Bさんは、ウソの報告をした部下を怒るが、自分自身もその上の上司から何か問われたときに、ごまかして答えることがある
つまり、Bさんは、部下に対して「○○をやってくれ」と言うのですが、自分自身がそれをやっていないのでした。
部下がそれをやらないのは、上司がそれをやっていないからではないのか?逆に、部下がダメなことをやってしまうのは、上司がそれをやっているからではないのか?
これを思いついてから、そのほかの事象にも目をやると、あてはまることが多いのです。
事務員がペチャクチャとおしゃべりしている。うるさいなと思うのだが、部屋の反対側の席に目をやると上長も趣味の話をしている。
ある人が「部下が挨拶してこない」と言うが、上司であるその人は自分から挨拶していない。
といった具合です。
部下は、上司の言動の全てを見ることができるわけではありませんが、上司の言動を垣間見て、上司の思考を感じとるかと思います。上司がやるべきことをやっていないのであれば、部下も同じくやらなくてもいっか、と思ってしまうでしょう。やっていない上司に言われても、説得力を感じないはずです。
部下のここがダメなんだよな、直してほしいと思ったときに、まず疑うべきことは自分が同じことやっていないかです。まず自分から直せ、です。
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