セロトニンを増やしてストレスを軽減させる方法

生活


私たちは、日々さまざまなストレスさらされて生きています。暑いとか寒いとか、雨が降っているといった天気にたいするストレス。仕事では、職場の人間関係から、仕事の不出来にたいするストレス。

週末に遊びに行くときには、友達が約束時間に遅れてきたとか、車で出かけたら交通渋滞に巻き込まれて車が進まないといったストレス。

実に多くのストレスがありますよね。こういったストレスに大きく関わっているのが、セロトニンと呼ばれる神経物質です。セロトニンがよく分泌されていると、これらのストレスを軽減させてくれる効果があります。

セロトニンとは

脳内には、さまざまな部位をつなぐネットワークがあります。そのネットワークを構築している神経細胞は、細胞同士がぴったりとつながっているのではなく、わずかな隙間をあけて連携しています。その隙間を移動して情報を伝えているのが神経伝達物質で、そのひとつにセロトニンがあるのです。

神経は、情報伝達につかっている物質の名前を頭文字として、「○○神経」と呼ばれていて、セロトニンをつかっている神経は、セロトニン神経を呼ばれます。

ほかの神経伝達物質には、ノルアドレナリンやドーパミンなどがあります。ノルアドレナリンは怒りや危機にたいする興奮を脳にもたらす物質です。ドーパミンは快を求めるために脳を興奮させる物質です。

セロトニンの材料はトリプトファンという必須アミノ酸です。

※必須アミノ酸とは、体内で合成することができず、食物から摂取しなければならないアミノ酸のことです。

トリプトファンは、脳の毛細血管から脳のなかに入って、縫線核でセロトニンになります。この縫線核はセロトニン神経と呼ばれます。セロトニン神経が活発になると、脳の中のセロトニンが増加するのです。

セロトニンの効用

セロトニンは、元気をつくりだしてくれるものであり、また平常心をもたらしてくれます。興奮しすぎるのを抑え、逆に気分が落ち込んでしまうのを防いでくれる働きがあります。

セロトニンを増やすためには

セロトニンを増やすためには、セロトニン神経を弱くしてしまうような生活習慣を避け、セロトニン神経が活発化される行動を意識的にとることです。

太陽光を浴びる

私たちの生活は太陽と密接に関わっています。脳は、日没とともに自立神経を副交感神経優位に切りかえて、エネルギーを蓄積するようにします。

太陽光を受けると、自律神経を交感神経優位に切りかえて、活動レベルを上げるのです。目の網膜から太陽光が、セロトニン神経を興奮させ、脳を覚醒させるのですね。

うつ病の患者はセロトニン不足となっていることが多く、うつとセロトニンには密接な関係があります。北欧で冬季うつ病になった人を、南イタリアの太陽が輝くところへ連れていくと、それだけで病気は回復してしまうという話もあります(「脳からストレスを消す技術」p117)。

私は、曇りの日や雨の日が続くと、気分の調子が悪くなりますし、その後で晴れた日がやってくると気分が回復します。朝の目覚めも違いますね。これは、日照不足があるとセロトニン神経の働きが低下してしまってセロトニン濃度が低くなり、日照が十分にあるとセロトニン濃度が高くなるからです。

セロトニンは朝につくられますので、1日の始まりに朝の太陽光を浴びることは効果的です。北向きや西向き窓しかないマンションだと、部屋に光が入ってきません。窓の位置によって得られる不利益が、こんなところにもあるのです。

カーテンを開けて部屋に太陽光を入れたり、散歩をして景色を眺めたり。「脳からストレスを消す技術」によると、短い時間でもよく、30分ほど行うもっとも効果的とのこと。

リズム運動をする

by:Curtis MacNewton

一定のリズムを刻む運動をすると、セロトニン神経が活性化されます。「脳からストレスを消す技術」によれば、

最低5分。

5分だけでもいいから何かしらのリズム運動を行えば、セロトニン神経が活性化されて、セロトニンが出る量が増えるのです。

ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳、スクワット、打楽器などがリズム運動です。これらは、リズム運動としてセロトニンの活性化と同時に、体力をつけたり、楽しむこともできますね。

噛む行為もリズム運動です。食べ物をよく噛むことは、食べ物が消化・吸収されやすくなりますし、口周りの筋肉が引き締められて小顔効果があります。また、よく噛むことで脳神経が刺激されて脳が活性化しますし、唾液が多くなって虫歯を再石灰化させる効果が出て虫歯予防にもなります。

呼吸もリズム運動になります。生物としての根源的なリズム運動は呼吸でしょう。人間が生まれてはじめて行うリズム運動です。

呼吸法とは、腹筋と横隔膜を意識的に動かして行う運動方法です。

瞑想は、今ここに集中することです。呼吸法を行いながら、浮かんでくる雑念を排除し、今この呼吸法に集中することです。瞑想を日常的に、意識を集中させて行うことによって、ストレスに強くなり、集中力や決断力が増す効能を得られます。ただし、集中できず雑念に流れてしまうとセロトニン神経はあまり活性化されず、これらの効能も得られにくいです。

考えれば、リズムを刻めるものはいろいろ出てきそうですね。私は、まだ若かりし頃、ギターをよく弾いていました。ジャカジャカとリズムを刻む場合には、打楽器と同じように、リズム運動効果が得られるのかもしれませんね。

ビギナーのためのマインドフルネス瞑想」を読むと、ストレスを3種に分類しています。※マインドフルネスとは、今のこの瞬間に心を向けている状態をつくることです。それを行うための方法が瞑想です。

  • 外部からのストレス
  • 満足できないストレス
  • 人に認められないストレス

雨が降って服が濡れてしまうことや、夏の屋外が暑いこと、職場のエアコン効きすぎて寒いこと、あるいは、職場に苦手なひとがいること。こういったものが外部からのストレスになりますね。

恋愛がしたいのに相手がいない、もっと大きな仕事がしたいのにやってるのは小さい仕事…。これらは、満足できないストレスです。

頑張って仕事をしているのに認められない、彼女のためにプレゼント用意したのに喜んでもらえなかった…などは、人に認められないストレスになります。

これらのストレスはいずれも、セロトニンが正しく分泌されていると軽減される効果があります。

栄養バランスのよい食事をとる

セロトニンはトリプトファンからつくられますから、ではトリプトファンがたくさん含まれた食材をよく食べるようにすればよいのでは?と考えが浮かんできます。

ですが、有田秀穂氏は「ここ一番に強くなるセロトニン呼吸法」で、トリプトファンは、日常的に口にするものに結構入っていて、普通の食生活をしていれば不足することはないと書いています。牛乳、チーズ、肉、魚、バナナ、米などに含まれているのです。

たくさんとればいいというものでもありません。トリプトファンをたくさん食べたからといって、それだけでセロトニン神経が活動的になることは、まず考えられない、と言います。

トリプトファンの多く含まれている食べ物だけパクパク食べるのではなく、栄養バランスのよい食事を心がけておくのがいいでしょう。それには理由があります。

トリプトファンからセロトニンがつくられるときには、ビタミンB6、亜鉛、マグネシウムなど他の栄養素も使われるためです。

また、ナイアシン(ビタミンB3)という物質も同様に、トリプトファンからつくられるのですが、セロトニンとナイアシンの両方を生成しなくてはならないとき、ナイアシンが優先されるのですね。ナイアシンが不足していると、そちらが優先的につくられて、セロトニンは後回しにされてしまうのです。セロトニンを生成させるためには、ナイアシンを不足させないことも必要になってきます。

ともかく大事なのは、偏った食事をしないことで、基本的な栄養バランスを意識して食べることでしょう。そうすれば、「この食材を1日にこれだけとらないきゃね」といった細かいことは気にせずとも、セロトニンのもとになるトリプトファンは摂取できますし、セロトニンもつくられます。

まとめ

ストレスを軽減させようとしたら、思考・心の持ち方を変えて対応しようとするのが一般的です。

しかし、思考を変えようとするのは難しいです。何年も何年も同じように繰り返してきたその思考は、簡単に変えられるものではありません。

  • 太陽光を浴びる
  • リズム運動をする
  • 栄養バランスのよい食事をとる

といったことは、身体に対して働きかけるものです。

まず身体にたいして働きかけて、そこから心にも好影響が及ぼされていくことを目指す。

これは、心を変えようと努力するよりも、かなり簡単なことであると思います。たしかに、普段運動をしていなかったのに、外に出て日差しを浴びながらジョギングするという新しい習慣をつくるのは、若干のハードルの高さがあるでしょう。しかし、心の持ち方を変えてストレスを無くしていくよりかは、ぜんぜん楽にできるように思います。

こういった身体に働きかけることは、比較的すぐにできます。やるかやらないかです。

 

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